こんにちは、でらりんです(^^♪
今回の自習室は、負担重量です。
「負担重量」「斤量」「ハンデキャップ」「別定戦」「馬齢戦」など競馬をしているとこういった表現を聞くことがよくあると思います。
「競走馬がレースのときに重りか何かを背負っているのかな?」
「実績が高い馬ほど重いハンデがつくんでしょう?」
など、なんとなーくは分かっていると思いますが、ここで改めて負担重量について学んでいきたいと思います。
負担重量とは
負担重量とは、レースに出走する競走馬が背負う重量のことです。
現在は負担重量のことを「kg」で表しますが、昔は斤(1斤=0.6kg)で表していたことから、その名残で「斤量」と表示されることがあります。紛らわしいので、この自習では全て「負担重量」と表現するようにします。
競馬は、レースごとに負担重量が決められていて、必ずその負担重量を背負って出走しなければいけません。負担重量(斤量)は出馬表にこのように表示されています。
負担重量が56kgの馬や、54kgの馬がいるね。
この56kgというのは騎乗する騎手の体重のこと?
騎手の体重だけでなく、鞍や重りも含めているよ
◆負担重量に含まれるもの◆
①騎手の体重(勝負服・プロテクター含む)
②鞍などの馬具
③重り
①~③の合計が、レースごとに決められた負担重量とぴったりになるように調整します
でも騎手ごとに体重は違うでしょ?どうやって負担重量に合わせるの?
①騎手の体重 + ②鞍などの馬具
①と②で足りない重量を、重りで補填するんだよ
騎手が身に着けるプロテクターや、馬に取り付ける鞍にはポケットがついていて、その中に重りを入れることで負担重量ぴったりに合わせます
検量
競馬は、レースごとに馬が背負わなければならない負担重量が決まっています。決められた負担重量になっているかどうかを計測することを、検量と言います。
検量は、検量室と呼ばれる場所で計測します。
検量はいつ行われるの?
レース前に1回、レース後に1回、合計2回検量をするよ。レース前に検量することを前検量。レース後に検量することを後検量といいます。
◆検量のタイミング
前(まえ)検量レースの50分前までに行う
後(あと)検量レース直後に行う
※後検量は7着以内だけが検量対象。ただし、8着以下でもJRAの裁決委員会が気になる騎手を指定して検量させるケースがある
後検量はレース直後に1~7着の馬だけが行います
参考までに、その様子が分かりやすい動画がこちら↓
1~7着だった馬と騎手が着順通りのゲートに入っていきます。ゲートの奥にあるのが検量室で、騎手は鞍と重りを持って検量室に向かい、後検量を行います
負担重量違反
競馬は、レースごとに馬が背負わなければならない負担重量が決まっています。
例えば負担重量56kgと決まっているレースがあったとします。
レース後の後検量で、1kg以上軽い負担重量(55kg以下)で出走したことが判明した場合は「負担重量違反」でレース失格になります。
逆に56kgよりも重い重量(例えば57kg)で出走したことが後検量で判明した場合も「負担重量違反」です。しかし、決められた負担重量よりも「重い場合」は失格にはならず、罰金が科せられます
負担重量違反の有名な事件だと、1999年のシンコウシングラー事件です。
・シンコウシングラー事件
1999年に東京競馬場で開催された緑風ステークスに出走したシンコウシングラーは2着に入選しました。しかし、後検量を行った際、前検量のとき比較して1.7kgの不足(1.7kg軽い重量で出走)があったことにより、失格となりました。
原因は、鞍に取り付けるはずの重り(重りを入れたゴム製パッド)を取り付けていなかったからです。わざと取り付けなかったというわけではなく、騎手(柴田善臣)が前検量のあと、検量室内にパッドやゼッケンなどの装具をぐちゃっと置いてしまい、その後、調教師がシンコウシングラーに装着する装具を運ぶ際にパッドを忘れてしまったのではないかと推測されています。
JRAの裁決委員会は、騎手と調教師の双方に落ち度があったと認め、騎手に20万円、調教師に50万円の過怠金を科しました。
なお、このレースでシンコウシングラー絡みの馬券は「取消し」ではなく「不的中」という扱いになり、約13億円の馬券が返還されなかったことも波紋を呼びました。
レースごとの負担重量
競走馬はレースごとに決められた負担重量を背負って出走しなければなりません。
レースには4つの種類があり、その種類ごとに負担重量のルールが決まっています。
◆馬齢戦
◆別定戦
◆定量戦
◆ハンデキャップ戦
この4種類です。出馬表や競馬新聞にも記載されているので、見覚えがあると思います。
赤枠で囲った部分に「定量」と書いていますので、エリザベス女王杯は「定量戦」ということですね。
では、これら4つの種類について、どのような負担重量のルールがあるのかを説明します。
・馬齢戦
2歳限定のレース、3歳限定のレースのときにだけ適用されるのが馬齢戦です
デビュー間もない2歳の頃は牡馬と牝馬の力差がないから、負担重量は一緒です。でも徐々に牡馬の方が力が強くなるから、2歳の10月以降から負担重量に徐々に差をつけます。これが、馬齢戦です。
なるほど。言われてみると、4歳だけのレースや5歳だけのレースっていうのは存在しないもんね。だから「馬齢戦」っていうのは2歳だけのレースと3歳だけのレースに用いられるんだね。
こんな感じで徐々に牡馬(セン馬を含む)と牝馬の負担重量に差がついていきます。
基本的に3歳以上になると牝馬は牡馬よりも負担重量が2kg軽くなります。これは4歳や5歳になっても同じです。
・定量戦
定量戦は、馬の年齢と性別を基準に負担重量が定められたレースです。
「5歳以上の牡馬(セン馬も含む)は負担重量が57kg」
この基準をベースに、
①性別
②馬齢
③レースの距離
④レースが開催される月
これらの要素によって負担重量は決定されます
下の表は、①~④を一覧にしたものです
※( )はオープンクラス以外の平地競走の場合に適用される負担重量
例えば「3歳牡馬が7月に開催されるオープン1800mのレース」に出走をする場合、負担重量は53kgとなります。下の赤枠のマスが適用されるってことですね。
3歳牡馬じゃなくて、3牝馬の場合はどうなるの?
牝馬の場合はさらにマイナス2kgになるから、負担重量は51kgです
4歳と5歳は負担重量がほとんど一緒だ。馬齢による力差はないとJRAが判断しているんだね
・別定戦
別定戦は、定量戦のような性別や年齢による基準重量に加えて、
◆収得賞金の額
◆勝利数
◆過去に勝利したレースのグレード
これらの情報をもとに、あらかじめ決められている計算式に従い、負担重量が増えるという仕組みになっています。
つまり、飛びぬけて実績が高い馬がいる場合は、その馬の負担重量をさらに増やすのが別定戦です。強い馬の負担重量が増えますが、実際強いので、案外そこまでハンデにならないケースが多いといわれています。
・ハンデキャップ戦
勝利数や賞金に応じた計算式をもとに負担重量を増やしている別定戦に対して、ハンデキャップ戦には計算式は存在せず、「ハンデキャッパー」と呼ばれる専門家が負担重量を決めます。そのハンデキャッパーが、出走する全ての馬の負担重量を決めています。
ハンデキャッパーはどういう基準で負担重量を決めているの?
ゴール前で、全ての馬が横一線になることを理想として、全ての馬の負担重量を決めています
え、ということは最下位人気の馬もゴール前で横一線になるように考えられているってことだよね?
そう、だからハンデ戦は荒れやすいんだ。どの馬が勝ってもおかしくないように重量を決めているからだよ
減量騎手
負担重量を決める要素として、減量騎手も大きなポイントです。減量騎手とは、新人騎手に与えられる特典のようなものです。下の画像は、よくある出馬表の一部を切り取ったものです。
赤枠で囲った中に、騎手名がありますが、騎手名の左隣に☆や△の記号がついている場合がありますよね。これが、減量騎手の印です。これらの印が何を意味するのか。下の表をご覧ください。
例えば新人騎手で勝利数30回以下の場合は、3kgの減量特典が与えられた状態でレースに出走することができます。勝利数が31回以上になると減量特典は3kgから2kgに、勝利数が51回以上になると減量特典は2kgから1kgに減ります。そして101勝以上になると減量特典はなくなります。
それにしても3kgの減量特典って大きいね!
かなり大きいよ!だから短距離レースなんかは軽い減量騎手が逃げ切って勝つケースなんかも多いよね。なによりも、スキルやキャリアで劣る新人騎手達が減量特典を活かして経験を積んで、先輩騎手達に早く追いついてほしいね♪
ただ、101勝するまでの間ずっと減量特典を受けられるわけではありません。デビューから5年(正確には騎手免許の通算取得期間が5年)の間だけ減量特典を受けることができます。つまり、6年目からは減量特典はなくなります。
そして、2019年3月以降、女性騎手に対してさらに減量特典が与えらるようになりました。詳細は上の表のとおりです。これはJRAの藤田菜七子騎手や、名古屋競馬の木之前葵騎手ら女性騎手の活躍による影響ですね。一般社会と同じように、騎手界でも女性の活躍の場が広がることはとても良いことだと思います。
ちなみに、女性騎手の場合は101勝以上(または騎手免許の通算取得期間から5年経過)を挙げたあとも永久に2kgの減量特典を受けることができます。
以上で、負担重量に関する自習は終了です。
また1つ競馬の基本を学ぶことができました(^^♪
競馬を勉強して、もっと競馬を楽しみたいと思います(^^)/
僕だけでなく、この記事がみなさんの役にたつことができれば幸いです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!